何もない毎秒

粛々とやり過ごして過ごす日々に嫌気がさして

何もない毎秒

  私には、趣味も無ければ、得意なことも、人に喜んでもらえることも無い。小学生の頃から、休み時間をやり過ごし、放課後をやり過ごし、一年後のクラス替えまで、ただ粛々と毎秒をやり過ごしてきた。あと一年、また一年と働き、寝て、食べて、31歳になる。布団乾燥機をかけた後の布団の熱に足を暖めてもらいながら、ひとときの快適さを味わう。

  小学生の時は生きることに疑問を持つこともなかったが、今の私は生きることも生きないことも自分で選ぶことが出来る。いつそんな選択肢を手に入れたのかは覚えていないが、いつのまにか自分の毎日が自分のものになったからだろうか。だけれど、ご飯の時間になったらきちんとご飯を食べ、面倒くさいと思いながらも1日1回はお風呂に入る日々は自分の毎日とも言い難い。ただの、ある31歳日本人の毎日がそこにあるだけだ。

私は何もない1年、1ヶ月、1日、1秒を粛々とやり過ごしている。だけれどそれは望んだ事でも、満足している事でもない。抜け出すためにもがいた事も数知れず。しかしどうにもできない、すっかり疲れてしまった。そして、抜け出すなんて事は出来ないと悟った。ただ、これ以上深く沈み込むのはごめんだ。ここでアメンボのように水面で踏ん張る私の、何もない毎秒に何かがあると信じたい、31歳の戯言を聞いてほしい。