何もない毎秒

粛々とやり過ごして過ごす日々に嫌気がさして

色気つきだした、おばさんの入り口

  自分磨きなどと言うものをしたのはいつだろうか。はっきりと覚えているのは、高校生のころ。ダイエットの為にランニングしたり、ファッション雑誌を読み、休みの度に買い物に出かけていた。そのころは外見を良くする事で得られるメリットがあって、そのために頑張っていた。大学を卒業して、働き始めて1年目くらいまではそんな気持ちもあった気がするが、ここ6年くらいはそんな気持ちとは自然と距離を置いていた。結果手に入れた、鈍い体型、首のシワ、学生レベルの化粧スキルと冴えないクローゼット。鏡を見なければ、私がどんな状態かなんて分からないものだから、たまに鏡に映った自分が目に入りなんとも言えない気持ちになる。

  そんな私が、半年前から今の自分に合うスキンケアを探し始め、今はダイエットにチャレンジしたいと思っている。なんという変化だろう。何かきっかけがあった訳ではない。ただ、そういう事で自分の機嫌を取り、自信を付けないと立っていられないようなところまできた。私の生き方が原因でもあるし、年齢もあるだろう。私の肌や体型という、人様には何ももたらさない個人的なもので日々自分のご機嫌取りをしている。悪くは無かろう。ダイエットに成功した暁には、素敵な洋服を買いたいと思う。

  だけれど、何故今まで自分自身をこうやって放置していたかということを考えると、会社で働き出し、外見がもたらす色々な事にうんざりしてしまっていたからだ。そして、外見的主張をしない方が安全だと思ったからだ。だが今は、少し主張をしながら、安全ではない場所で生きていく図太さや、一種の諦めのようなものを身につけた。色気つきだした、おばさんの入り口。